『スチームボーイ』1980年代ロンドンの大友克洋スチームパンク映画
【「AKIRA」が好きな人にはちょっと疾走感不足?】
大友克洋大監督の2004年の映画、『スチームボーイ』。
当時、映画を見に行ったのですがストーリーが呑み込めず、
再度、内容を噛み砕くためレンタル。
古いDVDケースのまま、1本だけひっそりと置かれていた。切ないです。
AKIRAがあれだけ世界中を賑わせただけに、評価が低めなのが残念。
AKIRAファンがこの映画を観たときに感じるのは、失速感ではないでしょうか。
ストーリーにメリハリが少なかったのと、会話が滞ってストーリーの歩みが遅かったのが惜しい。
また、AKIRAのように主人公が飄々としていたら違ってたんだろうな、と思ってみたり。
主人公の少年は世界を戦争から守ろうと、私利私欲に操られる連中を倒すことを決意する。
そのへんはAKIRAっぽくてワクワクしたんですが、主人公は大人に振り回されっぱなし。
ちょっと意欲的でないように見えた・・・かも。
でも、映像が凄すぎてホレボレでした。総製作費24億円(!)というだけあって、
こだわりが凄かったんです。ジブリでいうと「紅の豚」ポジション?
絵がジブリ並の細やかさで、ディテールもものすごくこだわっているのに、
金田や鉄雄のような際立ったキャラ設定が出てこなかったのが惜しいです。
【「スチームボーイ」ざくっとしたあらすじ】
DVDパケで少年が手にしているのが、「スチームボール」という黒い球体。
これ、蒸気が最大値で半永久に噴き出し続ける、夢のようなアイテムです。
主人公のおじいちゃんが発明したもので、当時の化学最先端の物体なんだけど、
これを私利私欲にまみれた組織が狙いに来る。
これさえあれば、世界を救うこともできるし、世界を壊すこともできる。
主人公は祖父&義父が代々蒸気の研究者であることから、
自分で小さな蒸気機関の乗り物を組み立てたりしています。つまり天才肌。
ですが、こんな永久機関の球体は作り出せない(まだ子供なので)。
正しい大人の手にゆだねるべきなんですが、周囲の大人のうち誰が、
このスチームボールで世界を平和に導くことができるのが、見極められない。
少年は、黒い球体を持って逃げ、
さまざまな組織に追われたり捕らえられたりしながら、
誰がいちばんの悪者かを考えます。
子供ということで、悪者と対峙するだけのパワー&知識が不足しているので
その闘争シーンがアイマイなのと、
最後は大団円な結果になってしまったのが惜しいかな?
無実の民衆はかなりの数、犠牲になった筈なんですが、
悪者である主要キャラクターはほぼ生き残ったりして、
ちょっぴりモヤモヤが残るストーリーになってしまってました。
やっぱり見どころは、金属の歯車のお城でしょうか。
金&赤のスチームパンクな管が延々と続き、一つのお城を形づくる。
その躍動感は、ストーリーがなくても観ていられます。
(「甲鉄城のカバネリ」のスチームパンク様式にちょっと似てたかも?)
蒸気を動力とする飛行船や人型スーツなどは「おお・・・!」と思います。
大友監督1ファンとしては、どうしても観ておきたかった作品。
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