「悪魔の十三夜」曽祢まさこ氏の傑作漫画。ゴシックホラーな”蘇り”譚
「悪魔の十三夜」。講談社コミックスさん(全2巻)の文庫版です。
曽祢まさこさんの懐かしいゴシックホラー漫画。ものすごく昔に読んだことがあって、どうしてももう一度読みたくなり、買いなおし。
どうしても読み直したい漫画って、やっぱりよく出来てるんですよね~。
曽祢まさこさんの話は、ストーリーもオチもしっかりしてるので、読後感がスッキリしていて気持ちいいのです。
【世紀末のロンドン、切り裂きジャックと絡んだ怪奇ストーリー】
裕福なお嬢さんが主役のオハナシです。
このフリフリレース&オリボンの中世のお洋服がすてき。子供心にあこがれたものでした。
ママ&弟&お手伝いさんの4人で、森の館に住む主人公。
左側の美人ママは未亡人。カタブツなのか人嫌いなのか、主人公が町へ行くのを嫌がります。
じつはこの美人ママには、ヒミツがあったのです。誰にも知られてはいけないヒミツが・・・。
野良犬にすら恐れられるママン。
ママは実は、一度死んでいるのです。とこう書いちゃうと陳腐になってしまうけど、そんな単純ではない(笑)。
曽祢まさこさんのホラーは、いつも単に怖いだけでは終わらないところがいいですね。
何かしらどんでん返しが待っていて、読者を裏切ってくれるのです。必ず。
噴き出す血と、飛び散るバラ。ゴシックだなぁ(笑)。
主役の女の子よりも、私はこのセクシーなママが気になります。
黒いヒミツを抱えた女性って、ミステリアスでなまめかしい。黒い網手袋ってゴシックでステキですよね~。
現代日本でこんなの着用してたらミスマッチっぽい?でも憧れちゃいます。
出てくるモチーフも、なにかとゴシック。
洋館、黒猫、タロットカード、吸血鬼、斧、夜の森、沼、教会、賛美歌、ロケットペンダント・・・。
ちなみにタイトルは「悪魔の十三夜」ですが、「13」とは海外の忌み数。日本でいう4や9と同じようなものですね。
「13日の金曜日」もそうだし、タロットカードの「死神」の数字も13。
いろんな理由で13は避けられてますが、国や宗教にもよるみたいですね。
【「よみがえり」という概念。この漫画はそれをモチーフにしている】
日本でも「黄泉がえり」という映画があったけど、「死者の復活」、つまりゾンビストーリーは宗教色が濃いというか、非現実的で悪魔信仰的だったりします。
でもやっぱり人気のある設定ではある。「よみがえり」は、遺された生者の願いでもあるからです。
今の日本だとそういう信仰は薄れてきたけど、私自身も大好きだった身近な人が蘇ってくれるのなら、土の下からであっても大歓迎です(笑)。
たとえ相手が朽ち果てた姿であったとしてもかまわない。それは昔からの万国共通の人間の願いですよね。
この「悪魔の十三夜」は、そういうおどろおどろしい世界を、お耽美な絵柄で見事描ききっています。
ただ、「蘇る」ためには、それ相応の大きな犠牲を払うことになります。
その犠牲によって、この「悪魔の十三夜」では、罪なき多くの人が死ななければならない。
そんな主人公&ママの苦悩と恐怖を、世紀末ロンドンの切り裂きジャック事件にうまく絡めて描いてあります。
腑に落ちる終わり方だから、小気味いいんです。ただの少女マンガのくくりにしておくのはモッタイナイ!
個人的には、超傑作だと思ってます。おすすめ♪
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