『吸血姫美夕(ヴァンパイアミユ)』和ゴスの古いアニメにゾクゾク。
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【吸血鬼なのに正義寄りの主人公美夕(ミユ)。人間界を監視する異色の存在】
岸田今日子さんのゾクゾクするナレーションから始まる『吸血姫 美夕(ヴァンパイア ミユ)』アニメ。
なんとなく見始めた和ゴス系吸血鬼アニメだったのに、最後は夢中で夜を徹して見続けちゃいました。
古い作品で、CG使用はたぶん最低限なんだけど、和風の味のある絵柄や筆文字、背景が目新しく、現代でそのまま放送したらきっと人気すごく出るんじゃないかな?と思った作品です。
【最終回で衝撃のどんでん返し。最後まで自分を貫く冷酷な主人公】
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日本のヴァンパイアものって、わりと吸血鬼の存在に寛容です。「ヴァンパイアにもヴァンパイアなりの存在理由がある」というウラ事情を考慮した内容が多いんですね。
「吸血姫美夕」もその系統の物語。人間界に染まらず、人間の顔をして人間界に紛れ込んでいる主役・美夕。他人に情を移すこともなく、魔に殺されていく人間を遠くから眺めているだけ。すっごく冷酷な主人公です。
関わった人が死ぬことになっても「仕方ないわ、宿命だもの」と無表情で切り捨てる美夕。心地よいような、不気味なような・・・。
人間の心の愚かさに切り込んでいくセリフがステキです。この物語の中の”魔”の存在は、人間のココロが生み出したもの、という設定。なので、そういう人間の醜いココロのあり方を、美夕は冷たく観察し続けます。
あまりに悪い心に傾きすぎた人間には、美夕が吸血することで、永遠に幸せな夢の中で精神のみ生きながらえるように仕向け、人間界のバランスを保つ、みたいなストーリー。
ただ、美夕が唯一、気持ちを許してしまった友人が一人。「ちさと(千里)」という名前の明るいクラスメイトです(管理人と同じ名前)。
【親友である「ちさと」のココロが悪に傾き、いさめるため対峙する美夕】
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◆ここからエンディングのネタバレ注意◆
この右側の天真らんまんな少女「ちさと」に、少しずつ心を許す主人公・美夕。
氷のように冷徹な美夕の心も、この無邪気なクラスメイトに少しずつ融かされていきます。だけど、やはり吸血鬼の身で、人間に情を移してはならなかったんです。これが悲劇の始まり。
実はこのちさと、兄に恋をしており、その兄こそが、美夕の殺すべき天敵だったという・・・。その歪んだ愛情を利用して、ちさとの兄は美夕を倒そうとあの手この手で画策します。
最後にちさとは闇落ち。美夕サイドに殺され、生首となって美夕に血を吸われ、永遠に幸せな精神世界で生き続けます。
永遠の精神世界で、ちさとの生首をいとおしそうに抱く美夕。「ちさと、永遠に幸せだね」みたいなセリフとともに生首にほおずりするシーンで物語は幕を閉じます。
生首になり、悪者になった「ちさと」。同じ名前だけにショック(笑)。
このシーンはかなり衝撃でした。美夕は人間の心に近づけたように見えて、けっきょくは吸血鬼のままだった、という印象のエンディングでした。
【美夕のファッション、世界観、背景が完全に和ゴスの世界】
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美夕は普段、巫女さんみたいな髪型に、制服のいでたちですが、戦闘シーンになると完全にミニスカ巫女服にチェンジ。
赤い鳥居の上を住まいとし、夜な夜な横笛を吹きます。ゴシックモチーフの枯れ木や墓地、月夜、桜、人形、座敷、仮面などがいっぱい出てきて、ゴシックLOVERSをホクホクさせてくれるアニメです。
また、美夕の生い立ちの回想シーンでは、大正ロマンな詰襟にマント、雪駄、制帽姿の男性が出てきたりします。これも和ゴスの大きな特徴です。「帝都物語」のゴス要素に通じるものがあります。
『吸血姫美夕』は、ただの吸血鬼アニメではなく、人の心が世を乱すことへ警鐘を鳴らす、奥深いアニメです。
かなり精神的にキツいシーンも多いので、グロ耐性の少ない方にはオススメできないかも。
OVAやドラマCD、小説など幅広く展開しています。それぞれに違った良さがあるみたいなので、いつか制覇してみたいものです。
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